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終糸システム(Filum System®)適用の低侵襲治療の終糸切断手術が、アーノルド・キアリI型症候群児童患者に対する優れた治療法だと証明する判決

Published by at 2013年10月9日


終糸システム(Filum System®)適用の低侵襲治療の終糸切断手術が、大後頭孔減圧術とは対照的に、アーノルド・キアリI型症候群児童患者に対する優れた治療法だと証明する判決がイタリアで下されました。

キアラさんは、2007年にロヨ医師の手術を受けたダビッド君のお母様です。

キアラさんの個人ブログの冒頭では一通のお手紙が掲載されています。その手紙はキアラさんご本人が新聞社やテレビ局宛に書いたものですが、残念ながら返答はなかったそうです。手紙には、ダビッド君の病気がわかってから終糸切断手術までの経緯と、手術の効果などが綴られています。ダビッド君の症例に関しては、キアラさんの実体験のほか、法医学者によって提出された報告書で公平に描写、分析されております。

ダビッド君のご両親は、居住地区の国民健康保険を相手に訴訟を起こしました。2011年に出された最終判決で、終糸切断手術はイタリア国外で行われている手術で、イタリアの病院からバルセロナの病院へ患者を回すのは大変困難であるが、児童患者のためにリスクの少ない手術を選ぶのは保護者の権利だとして、イタリア国民健康保険に手術費用の払戻しを命じました。

ここでキアラさんのブログの一部を紹介します。また、法医鑑定報告書の翻訳文ならびに判決文原本(イタリア語)も掲載します。

ダビッド君の臨床例および司法例によって、当研究所がアーノルド・キアリI型症候群と関連する病気の治療を行う国際医療機関であることが再確認されたとともに、終糸切断手術が上記の病気に対する第一の選択として適用されることの重要性、手術によって得られる患者さんの生活の質の向上を示す明らかな証拠にもなりました。

裁判資料を公開する許可をくださったキアラさんならびにキアラさんご家族に、研究所チーム一同心から御礼申し上げます。法的に終糸切断手術の効果が認められた事実は、今後多くの患者さんにとって有益な情報になると考えております。

キアラさんのブログの内容(一部抜粋):引用リンク(2013年)https://chiarar77.myblog.it/

“…ダビッドは元気がありませんでした。じっとしている時でもよく転んでいて、話したいと思って何か口から音を発しているのに、言葉にならず話すことができませんでした。ダビッドは度々脚や関節を触っていて、苦しんでいるのが伝わってきました!発作が起こると、変な感覚があるのか、何か怖いものを見ているような、まるで幻覚を見ているようでした…”

“…深刻な状況の中、神経内科の先生には脳電図の再検査でてんかん発作の原因がわかったと言われました。 “

“先生に薬を処方され、翌月(2007年2月)に脳のMRI検査を受けるように言われました…”

“…MRI画像診断報告書には、ダビッドのMRI上で「髄鞘形成」と定義される白い部位が見られると書いてありましたが、それは基準値の範囲内らしく、その他に、「約7mmの小脳扁桃下垂が見られる」と書いてありましたが、脳神経外科の先生には、MRIは非常にきれいに撮れていて、ダビッドはまさに健康そのものだと言われました。てんかん発作の病巣は見られないから、おそらく時間が経てば治まるだろうと言われました…”

“….次の診察日が来て、その時言われたのは2007年2月にフェラーラで撮影されたMRIで、アーノルド・キアリ症候群(7mmの小脳扁桃下垂)と呼ばれる脳の奇形が認められ、ダビッドの年齢で脳がまだ髄鞘形成の段階であることは極めて稀だとし、「脳虚血」ではないか、というのが先生の意見でした…”

“… 先生にはダビッドの検査結果に異常が出たのは私のせいだと言われ、ご飯を食べないのも、言葉を発しないのも私がその機会を与えなかったからと、私が常に先走り過ぎていて、子供に対して独占欲が強すぎるとも言われました …”

“…そしてすぐに外科手術について話し始め、まず大後頭孔減圧術について話始めました。仮にその手術の効果が見られない場合は、脳を触る手術の可能性もあると言われました…”

“アーノルド・キアリI型症候群は、小脳扁桃が大後頭孔から下垂し、脳内が圧迫されて脳脊髄液(髄液)の循環を妨害し、てんかんに似たような発作が起こることがあります。”

“絶望の果て、私はインターネットでキアリ奇形やその治療法について調べることにしました。その結果、スペインのバルセロナで手術を受けたばかりの男性が書いた掲示板のコメントを見つけました。その手術とは、最新の低侵襲治療で、24時間の入院だけと書いてありました。コメントと一緒に、男性の携帯電話の番号も書いてありました。”

“…必要な検査をすべてダビットに受けさせた後、私は早速医療費の払い戻しに関する様々な法律の情報を集め始めました。一刻も早く手術を受けさせた方がいいと思っていたので、私の気持ちは決まっていました。”

“イタリアでは、大後頭孔減圧術は患者さんの病状が危機的、つまりこれ以上手術を避けられない状態にある場合や、痛みに対する治療が十分でない場合に行われます。”

“また、大後頭孔減圧術は合併症を起こす可能性があり、事実、幾度となく起こっています。しかも、手術前にあった症状は術後消えることはありません。仮に手術の効果があったとしても、それは病気の悪化を防ぐだけです。大後頭孔減圧術後に病状が悪化し、2回以上手術を行わなければならない場合や、最終的に頭蓋骨を開く手術もありえます。”

 “一方、ロヨ先生がバルセロナで行う終糸切断手術は、病気の進行を止めるだけではなく、患者さんによっては症状の緩和が期待できます(年齢や体の組織の柔軟性に因ります)…”

“…私は心からロヨ先生の手術を信じています。どんな母親でも私の立場になったら、きっと自分の子供の脳を触らせる前に終糸切断手術を選ぶと思います。私はバルセロナでの手術を決意し、荷物をまとめ、母と主人のトーマスの付き添いのもとバルセロナへ向かいました。”

“術前検査は2007年10月1日に行われました。ロヨ先生は大変親しみやすい先生でしたが、その時はただただダビッドのことで頭がいっぱいでした。その翌日の10月2日、ダビッドの手術が行われました…ダビッドは当時まだ小さかったので全身麻酔下で手術が行われ、かかった時間は1時間くらいでした(ダビッドは当時終糸切断手術を受けた患者で、一番小さかったです)。手術が終わって、ロヨ先生から病室で待っていた私達に電話が入り、手術の様子やダビッドの終糸がとても太く、ぴんと張った状態だったと説明を受けました。また、ダビッドの終糸の写真も見せてくれて、手術は成功したから今後すべてが正常に戻るだろと言ってくれました。ダビッドの体は他の子供と同じように成長するだろうとも言われ、てんかん発作もなくなって、虚血も改善するだろうと言われました。母も私も涙を流して、思わず先生を抱きしめました。それから病室に戻ってみると、ダビッドがすでに目を覚まして看護師さんと一緒に待っていました。いつもだったら全身麻酔後に青白くなる息子の顔が、今まで見たことがないほどきれいな赤ピンク色をしていて、先生には血行がよくなった証拠だと言われました。決してあの瞬間を忘れることはありません。他にもびっくりしたことは、息子がまるで初めて手の感触を味わうかのように手をじっと見たり触ったりしていたのです(この奇病によって麻痺や痺れが引き起こされていたのは明らかでした)。息子のそんな姿を見て、息子がまるで生まれ変わったかのようでした! その日の午後、麻酔から完全に覚めたダビッドは、起き上がって車のおもちゃで遊ぼうとしました。その日を境にダビッドは一度も転ばなくなりました。まさかと思いましたし、今でもそう思っていますが、本当にもう二度と平衡感覚に異常をきたすことはありません。手術の翌朝の退院許可が下りる前の診察で、他の神経症状にも改善点が見られたと聞いて、家族みんなで喜びました!ロヨ先生の功績を称え、銅像を作りたいとさえ思いました!バルセロナでは、ロヨ先生の職業に対する意識の高さと人間性、患者への深い理解を感じ、イタリアでは考えられない夢のような待遇を受けたことを、声を大にしてお伝えしたいと思います。また、てんかん発作の薬に関しては、主治医の神経内科の先生の指示に従って2007年末まで薬の量を減らすのを待とうということになりました。発作は病巣が原因ではなく、ダビッドの脳が受けていた圧迫が原因だったので、薬では治療できるものではありませんでした。てんかん発作が起こっても、すぐに治まりました。 “

 “ダビッドはまだ小さいし、術後すぐの2時間のフライトで体に影響が出るのではと思い、バルセロナには退院後2日ほど滞在しました。何か起こった時のことを考えて、私達家族は病院から2分のところにあるホテルに泊まりました。手術から数日後、ダビッドが痛みを訴えたり関節を触ったり、走って転んだりすることがなくなりました!日に日に良くなっていく息子の姿を見て、私達の選択は間違ってなかったと確信することができました。”

“フェラーラの神経内科の先生は、てんかん発作がなくなっても2年間は薬を飲み続けなければならないと言っていましたが、2月の検査でダビッドの肝臓に影響が出ていることがわかり、薬の量を徐々に減らしていくことになり、後にダビッドは完全に薬を飲むのをやめました。”

“ダビッドは2008年2月1日以降薬を飲む必要がなくなり、2008年5月1日からは完全に薬を飲んでいません。てんかん発作は1年前からありません(最後にあったのは2007年8月1日です)。現在、言語矯正の専門家のクラスに通っていて、いくらか言葉を発するようになってきました。もう転ぶことも、体の痛みや頭痛を訴えることもありません。理学療法の先生にも診てもらいましたが、体の全機能が正常に発達していて、体力もあって元気だから、理学療法は必要ないと言ってもらえました….”

“…ある日、家の中庭でダビッドが近所に住む双子の友達と遊んでいた時のことです。ダビッドは2時間ずっと休まずに走り回っていましたが、一度も転ぶことはありませんでした。そんな息子の姿を見て、終糸切断手術を受けさせて本当によかったと思いました”

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書類原本: https://institutchiaribcn.com/commons/pdf/comunicados/consulenzamedicolegale.pdf

イタリアフェラーラ裁判所

行政審判914/9, Trib.Lav. Ex. r.g. 2656/09 Trib. Ord.

法医鑑定報告書

“…今回調査された事例は、複数の神経学的症状を伴う複雑な症例であり、神経学的データに対する解釈の遅れがあったため(最初のMRI画像からすでに奇形は明らかであった)、おそらく他覚所見で困難があったと思われる。後にフェラーラの専門家によって行われた神経放射線学的検査から最終的な診断が下り、(大後頭孔減圧術による)奇形に対する緊急治療の提案があった。”

“…大後頭孔における進行性の小脳扁桃下垂を治すために提案された手術は、大後頭孔のみに集中され、大後頭孔の減圧(後頭下骨切除、場合によって環椎後弓切除)や、小脳延髄槽を拡大するための硬膜切開と形成術(生体親和性に優れた組織を用いる)が行われる。ある症例においては、小脳のスペースを広げるため、小脳扁桃凝固術を行う必要性もある”

“明らかに複雑な手術であるものの、専門機関で日常的に行われている手術で、患者の住む地域でも行われている手術である。”

“しかしながら、ダビッド少年の場合、以下の重要な要素があることを強調しなければならない。”

“まず、患者親族に神経性の痛みを患っている親族がいること、またそれは急速な悪化を伴う複雑な症状であること…一方で、大後頭孔減圧術の必要性を提案する医師もいるが、これは脳損傷の可能性のある手術である。”

“要約すると、2007年8月の検査結果から、前頭の傍矢状深部白質の異常と側脳室後部(三角部と後角)の拡張を示す低酸素性虚血性脳症が確認された。”

“また、後頭蓋窩の検査からは5mm以内のわずかな小脳扁桃下垂(アーノルド・キアリI型症候群)が見つかった(脊髄空洞は見られない)。脊髄円錐は通常の第1腰椎-第2腰椎の間に位置していた。”

“深刻な状況を前に、ダビッド少年の両親が大後頭孔減圧術を受けさせるかどうか決めるために時間を求めたのは当然のことである。大後頭孔減圧術に代わる重大な手術の発見は、数年前からアメリカやヨーロッパの専門家グループの経験に基づくもので、それは児童患者におけるアーノルド・キアリI型症候群は下からの脊髄牽引が関連していて、終糸を切断する簡単な手術で、予想される(または可視の)牽引を取り除くことができるというものである。”

“この技術はイタリアで知られていないわけではなく、実際小児科では大後頭孔減圧術に加えて手術の効果を向上するために終糸切断手術を行う医療機関も存在する…しかし、その終糸切断手術は腰仙部の切り目を入れ硬膜嚢を開いて行われる。”

“バルセロナで行われている優れた手術は終糸を切断する技術で、局所麻酔の極めて簡単な仙骨部の切開の低侵襲治療でありながら、同様の効果を得られるものである。”

“ダビッド少年のような神経因性疼痛を患った児童患者の場合、この手術が第一の選択ではないかと考えられる。終糸切断手術のような影響の少ない手術後、効果が見られなくても危険な大後頭孔減圧術の実施日を数日遅らせるに過ぎないが、それとは逆の順序で手術が行われた場合は、より高いリスクを伴うことになる。”

“2008年11月12日に撮影されたMRI検査画像を、術後経過の証拠として考慮に入れることにする。2007年10月2日に行われた脊髄円錐の先にある終糸を切断する低侵襲治療は、仙尾骨部で行われる手術であり、脳部の虚血の拡大や痛みの度合いに画像上の実質的な差は見られない。手術部である仙骨部に合併症の形跡も見られない。しかしながら、後頭蓋窩の画像から形態学的に小脳扁桃が丸くなり通常の位置に上昇したという顕著な改善が見られる。”

“CTU (“Consulente técnico d’ufficio”=技術顧問)は、私立の医療機関のバルセロナキアリ&脊髄空洞症&脊柱側弯症研究所によって行われた手術は、国内では周知されていない技術のために行われていないと考える。”

 “少年は国内または地方で治療を受けられた可能性はあるが、それは様々な方式のリスクの高い治療である。終糸切断手術によって病気(アーノルド・キアリI型奇形)を治すことに成功し、画像からも治癒が確認できる。”

“終糸切断手術はイタリアでは減圧術後に行われる手術として知られているが、このダビッド少年の事例では、たとえ成果が得られないとしても(大後頭孔減圧術ではなく)バルセロナの医療機関で行われる体への影響や合併症のない終糸切断手術が第一の選択として選ばれるのが正当であり、合法であると考える。”

“さらに、ダビッド少年の両親および親族の払った手術費用は記載された費用と一致している。”

2011年5月20日 モデナ

NOCSAE Baggovara病院

脳神経外科

エリオ・トルチア(Elio Torcia)脳神経外科医

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書類原本: https://institutchiaribcn.com/commons/pdf/comunicados/sentencia.pdf

判決文(SENT. N. 214/11- イタリアフェラーラ裁判所)

 “2011年7月1日に行われた裁判(No.914/2009 R.G.)の法廷審理で、労働審判官のアレッサンドラ・デ・クルティス(Alessandra de Curtis)裁判官は以下の判決を下した。“

原告側

“ピゴッツィ・ダビッド少年の保護者ラン・キアラ(Ran Chiara)氏とピゴッツィ・ジョバンニ(Pigozzi Giovanni) 氏…”

被告側

“フェラーラのAzienda USL(イタリア国家医療)…”

目的:医療費払戻し

…….

“法医鑑定報告書によって、少年が生まれた時から痙攣発作、運動発達遅滞、アーノルド・キアリ奇形I型などの神経因性疼痛を伴う複雑な症候群を患っていることが確認できた。さらに、海外で改良された低侵襲治療の外科手術は、特に児童患者に適用されるべき手術であるにもかかわらず、イタリアでは侵襲性の高い手術に加えられて行われる手術である(法医鑑定報告書に記載)。少年に術後顕著な回復が見られたのは、終糸切断手術の効果を示す何よりの証拠である…手術によって、患者の治したい病気の解決につながった…”

“よって申し立てを受理する…….”

“健康に対する個々の基本的な権利の重要性をここで強調すべきである…”

“裁判官は申し立てを受け入れ、イタリア国家医療に対し手術総費用および訴訟費用を原告側へ支払うよう命じた。”


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